ロシアでプーチン政権に最も影響力のある反対派の一人だったアレクセイ・ナワリヌイさんの訃報は、世界に大きな衝撃を与えました。
ロシア野党のカリスマ的リーダーであり、政府の腐敗を暴いた活動家であった彼は、毒殺されそうになった後も、恐れることなく、大胆不敵な行動を続けました。
そして、弾圧的な政府に反対を表明したという理由だけで投獄され、ひどい拷問を受け、ロシアで最も辺鄙で過酷な刑務所で亡くなりました。
彼を偲ぶかのように、昨年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『ナワリヌイ』が昨日BBCで放映さているのを観ました。
彼の家族や友人たちとの結束、そしてロシア政権との闘いを追ったこのドキュメンタリーは、まるでスパイ映画のようなシーンもあり、時に緊張感とスリルを与えてくれましたが、同時にここに映し出されたカリスマ的な人物がもうこの世にいないことがとても悲しく、残念でなりませんでした。
この映画で私が最も感銘を受けたのは、彼が最後に残したメッセージでした。
「もしあなたが殺されることになったら、ロシア国民にどんなメッセージを残しますか?」と聞かれ、彼はこう答えました。
「あきらめてはいけない。
もし彼らが私を殺すと決めたのだとしたら、それは私たちがとてつもなく強い存在からだ。
あきらめないために、この強さを使う必要がある。
私たちは、悪い男たちに抑圧されている巨大なパワーであることを忘れてはならない。
自分たちがどれほど強いのか気づいてほしい。
悪が勝利するために唯一必要なことは、“善人が何もしないこと”だ。
だから、「何もしないこと」を選んではならない。」
この言葉は、傍観者であることが、結果的に悪に加担することになるということを私たちに思い起こさせてくれます。
ナワリヌイさんが言う「悪」とは何を指すでしょうか?
宇宙の原理で悪とは、『何をするのが良いか悪いかについて人間が決めた法則』に反することではありません。
つまり、法を犯すことが悪ではないのです。
宇宙の原理において、悪には絶対的な定義があります。
それは、この2つだけです。
1. 他人に危害を加えてはいけない
2. 他人の選択の自由を奪ってはいけない
勇気あるナワリヌイさんは、この2つの悪に直面して死にました。
彼の死は、ロシア人だけでなく、私たち人間一人ひとりが『傍観者でいることをやめるために何ができるか』を考える貴重な機会を与えてくれています。
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